Jan 24, 2009
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東日本大震災は、証券・金融市場にも様々な影響を及ぼしている。震災の影響を踏まえて、今後の証券・金融市場の見通しを専門家に聞いた。
「アジア市場を見続けて20年」という香川證券PBコンサルティング部グローバル・マーケッツ担当部長の大原平氏は、中国株式市場の見通しについて「大陸市場も内需拡大で成長するが、むしろ、香港株に妙味が大きい」という。「次世代の指導者が決まっている中国は、政治的リスクがひと昔と比べ大幅に低減。一貫性のある政策を踏まえた経済発展が見込まれる。政策関連株への投資で成功できる」と、インフラ整備関連や消費関連などに注目する。
――当面の中国株の見通しは?
中国株は、上海・深センの大陸株と香港株を分けて考えた方が良い。金利の環境が大きく異なっている。中国国内は、金利上昇サイクルのど真只中にあり、今年は、2回−3回の利上げが実施されるだろう。一方、香港は、実質的にマイナス金利で、不動産等は一部で引き締めがあるが金利水準は低いままである。これは、米国ドルと通貨がペッグしているので、金利動向は、米国とほぼ一緒に動いている。
中国国内においては、内需の消費拡大が国の経済を支える力になっていくだろう。今までは財投によって国家の経済がある程度背伸びをして8−10%前後の高い成長を維持してきたが、これからは「輸出主導型」から「内需拡大」による経済発展にシフトしたいところだ。具体的には、GDPに占める個人消費の比率を40%程度から、これを日本のように60%以上、米国の70%程度をめざしたいということ。
最低賃金を全国平均で20%以上引き上げ、都市と内陸部の貧富の格差の解消をめざしている。これから5カ年計画では、都市と農村の可処分所得の伸びを年率7%増やして内需を拡大するとしている。この結果、3年−5年先には経済全体における消費のウエイトが高まってくるだろう。
国が政策として一般庶民の富の水準を引き上げたいときには、おおむねその国の株価は下がりにくく、底上げが期待される。
――大陸市場と香港市場では?
香港が良い。米ドルと香港ドルのペッグの見直し論が見え隠れしているが、意外と予想以上に早く進むとみている。
一つは、元来、人口700万人の都市に対し、背後にある広東省は人口が1億人前後いる(戸籍外人口含む)。こことの一体化が進む。貿易・金融サービスで成り立ってきた香港に、広東省経済から好影響を受ける形で内需拡大の可能性が現実味を増してくる。香港はこれまでは、消費の市場が小さかった。貿易のウエイトが高いため、為替の変動は許されなかった。このために、世界の基軸通貨である米ドルにペッグしてきた。ところが、もし、貿易のウエイトが下がってくるのであれば、為替の変動を絶対的に避けなければならないという必然性は落ちてくると思われる。
また、かつて、世界の基軸通貨であった米ドルの地位が揺るぎ始めている。相対的に弱くなってきた通貨とほぼ100%連動している香港の通貨は継続する意味があるのだろうか? 現在は、人民元と香港ドルの連動性はゼロだが、現実的な方策として、たとえば人民元を加えた通貨バスケットに香港ドルを連動させるような動きが出ると思われる。
米ドルと連動しないようになると、香港の資産価値は、大きく評価されるようになるだろう。弱い通貨から離れて、相対的に強い通貨の「元」に限りなく連動する方向へ移行する可能性があるのだから、香港の不動産、株など資産価値が大きく値上がりする可能性があるではないか。山梨の沖縄旅行で決まり!香港での中国株投資の妙味は、かつてなく大きくなってきたと思う。H株の妙味は大きい。
――人民元の見通しは?
人民元は兌換できないため、世界の中央銀行の間で保有されている外貨準備高の中に人民元は入っていない。かつ、貿易決済での決済通貨として人民元の採用は、今、限られた地域で実験的なケースにとどまっている。国際資本市場における存在感もほぼゼロに等しい。だがこれが、部分的にでも動き始めれば、歯車が回転して意外と早く人民元の国際化は進むと考えている。
2020年までは、人民元の自由化はありえないと見ている方が多いが、私は、すでにタイムテーブルに乗っていて、その準備は着実に進んでいると思う。ただし、自由化を実現するためには2つの条件が必要だ。
一つは、中国国内にある地場産業で国産化できる産業が増える。これで対外的に産業競争上抵抗力ができる。マーケットリーダーになれる商品、技術が育つこと。中国スタンダードが世界で通用するようになれば、人民元の大幅な引き上げがあっても太刀打ちできる。雇用が守れるということになる。たとえば、ボルボやレノボの買収など、地場産業の力をつける動きが続いている。グーグル、ヤフーがきても中国の検索エンジンである「バイドゥ(百度)」の地位は揺るがなかった。鉄鋼、化学、セメントなど、世界有数の企業に育ってきているので、この条件は整いつつある。
2つ目は、先物、債券市場の整備など、現物をヘッジできる通貨スワップなどの市場が拡大することだ。金融市場の国際化は、入念に準備が進められている。すでに、香港で人民元建ての債券の発行が解禁された。これからも、香港を使って実験的な政策が行われていくと思う。
胡錦涛主席体制は2012年に後継者に引き継がれ、プラス5年くらいの間に人民元の自由化は実現するのではないかと考えている。2017年−18年頃を想定している。指導者は継続した政策が取れるときに成果がほしい。そこに、人民元自由化の現実味があるように感じている。
――具体的な投資銘柄は?
今回の全人代で採択した新五ヵ年計画で、平均で年率7.0%の成長をめざすことにした。国の経済の成長ペースと一般庶民間の肌身で感じられる「豊かさ」を一致させようとしている。これは、共産党一党体制だからできる。
全世界を見渡しても、次の世代の指導者が決まっているところは、他にない。中国は、次の次の指導者まで、ほぼ決まっている。この政治の安定性、政策の継続性は証券投資をする上では大きな安心感になる。以前は中国株への投資リスクは政治リスクだといわれてきた。今は、もっとも政治リスクが低い市場といえる。
政策に則った産業、銘柄に注目したい。内陸部のインフラ開発で、セメント、鉄鋼など素材、また、石炭など。そして、金融セクター。
消費関連は、より庶民生活に近く、海外との競合が少ないところが安心だ。乳業、スーパーマーケット、中級から高級のアパレルなど。さらに、太陽電池関連など環境関連銘柄も面白いと思う。シンプルに考えたい人は、「香港証券取引所」が一つの選択肢となろう。よくわかる!旅行代理店に大敵(編集担当:風間浩)
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